【防災月間に見直す介護の備え】薬・電源・避難先は大丈夫?
『とやまるっと』編集室です。
9月1日は「防災の日」です。台風や大雨、地震などの災害は、いつ起こるかわかりません。特に高齢者や要介護者がいる家庭では、避難の判断や移動、薬や介護用品の準備など、一般的な防災対策に加えて考えておきたいことが多くあります。
「避難所に行けば何とかなる」と思っていても、実際には、薬が足りない、電源が確保できない、トイレや移動が難しいなど、介護が必要な方ならではの困りごとが起こることがあります。
今回は、防災月間に合わせて、要介護者がいる家庭や介護現場で見直しておきたい備えを整理します。
1. 要介護者の防災は「早めの準備」が大切
災害時、高齢者や障害のある方、介護が必要な方は「要配慮者」と呼ばれます。自分で情報を集めたり、すばやく避難したりすることが難しい場合があるため、平常時から家族や支援者と備えておくことが重要です。
内閣府は、災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障害者などについて、避難行動を支援する取り組みを進めています。市町村によっては、避難行動要支援者名簿や個別避難計画の作成が行われており、災害時に誰がどのように支援するかを事前に整理する仕組みがあります。
在宅介護では、本人の状態や住まいの場所によって必要な備えが変わります。歩行が難しい方、認知症がある方、在宅酸素や吸引器を使っている方、経管栄養やストーマ管理が必要な方など、それぞれに必要な支援は異なります。
だからこそ、防災の準備は「水と食料を置いておく」だけでは不十分です。その人が避難生活を続けるために何が必要かを、家族・ケアマネジャー・訪問看護師・主治医などと一緒に確認しておくことが大切です。
2. 薬・介護用品・電源をどう備えるか
要介護者の防災でまず確認したいのは、薬と介護用品です。災害時は、道路の寸断や物流の遅れで、いつもの薬や物品がすぐに手に入らないことがあります。
持病の薬は、可能であれば数日分の余裕を持ち、薬の名前・用量・飲む時間がわかるメモやお薬手帳をすぐ持ち出せる場所に置いておきましょう。認知症の薬、血圧の薬、糖尿病の薬、抗凝固薬など、急に中断すると体調に影響しやすい薬もあります。自己判断で中止せず、災害時の対応を事前に医師や薬剤師に相談しておくと安心です。
介護用品では、紙おむつ、尿取りパッド、清拭用品、使い捨て手袋、口腔ケア用品、とろみ剤、介護食などを備えておくと役立ちます。普段使っているものは、避難先ではすぐに手に入らないこともあります。特に、とろみ剤や特別な形態の食事が必要な方は、一般的な非常食では対応しにくいため注意が必要です。
もう一つ重要なのが、電源です。在宅酸素、吸引器、人工呼吸器、電動ベッド、エアマットなど、在宅介護では電気に頼る機器が少なくありません。停電時にどの機器がどれくらい使えるのか、バッテリーは何時間もつのか、充電方法はあるのかを確認しておきましょう。
ポータブル電源を準備する場合も、必要な機器に対応しているか、使用時間は十分か、定期的に充電されているかを確認する必要があります。医療的ケアが必要な方は、主治医・訪問看護師・医療機器業者と相談し、停電時の対応を具体的に決めておくことが大切です。
3. 避難先と連絡体制を確認しておく
災害時の避難先についても、平常時から確認しておきたいポイントです。一般の避難所に行けるのか、福祉避難所の対象になるのか、在宅避難が現実的なのかは、本人の状態や地域の体制によって異なります。
福祉避難所は、高齢者や障害のある方など、一般の避難所で生活することが難しい方を受け入れるための避難所です。ただし、災害が起きた直後に必ずすぐ開設されるとは限らず、市町村の判断や施設の安全確認、受け入れ体制の調整が必要になります。そのため、「福祉避難所があるから大丈夫」と考えるのではなく、まずは市町村や地域包括支援センターに確認しておくことが大切です。
また、避難する場合は、誰が付き添うのか、車いすや歩行器は持ち出せるのか、薬や介護用品を誰が準備するのかも決めておく必要があります。家族が離れて暮らしている場合は、近所の方、民生委員、ケアマネジャー、訪問介護事業所など、災害時に連絡できる人を複数確認しておくと安心です。
介護施設や事業所では、自然災害や感染症が発生してもサービスを継続するためのBCP(業務継続計画)の作成が求められています。計画は作るだけでなく、職員間で共有し、停電時の動き、送迎中止の判断、備蓄の場所、利用者家族への連絡方法などを実際に確認しておくことが重要です。
防災は、一度準備して終わりではありません。利用者の状態、薬の内容、家族の連絡先、介護サービスの利用状況は変わります。9月の防災月間をきっかけに、「今の状態に合った備え」になっているかを見直してみましょう。
まとめ
要介護者がいる家庭の防災では、食料や水だけでなく、薬、介護用品、電源、避難先、連絡体制まで含めた準備が必要です。
特に、在宅酸素や吸引器など電気を使う機器がある場合は、停電時の対応を事前に確認しておくことが欠かせません。
災害はいつ起こるかわかりませんが、備えは今日から始めることができます。防災月間をきっかけに、家族や支援者と一緒に、介護の備えを見直していきましょう。
参考URL
・内閣府「避難行動要支援者の避難行動支援に関すること」:
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/yoshiensha.html
・内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドラインの改定」:
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/r3_guideline.html
・厚生労働省「介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html
・内閣府「医療的ケアが必要な人と家族のための災害時対応ガイドブック」:
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/jikkoukaigi/18/pdf/shiryo2-2.pdf

















