『とやまるっと』編集室です。
8月は、一年の中でも熱中症のリスクが特に高まる時期です。
日中の強い日差しだけでなく、夜になっても気温が下がりにくい日が続くと、高齢者の体には大きな負担がかかります。
特に介護が必要な方は、暑さを感じにくい、水分を自分からとりにくい、エアコンを使いたがらないなどの理由から、気づかないうちに脱水や熱中症が進むことがあります。
今回は、在宅介護や介護現場で気をつけたい、高齢者の熱中症と夜間脱水への備えを整理します。
1. 高齢者はなぜ熱中症になりやすいのか
高齢者は、若い世代に比べて体の中の水分量が少なく、暑さやのどの渇きを感じにくい傾向があります。
そのため、本人が「暑くない」「のどは渇いていない」と言っていても、実際には体に熱がこもり、水分不足が進んでいることがあります。
厚生労働省も、高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能、暑さに対する体の調節機能が低下しているため、熱中症に特に注意が必要だと呼びかけています。
また、要介護状態の方は、自分で水分を用意することが難しかったり、トイレを気にして水分を控えたりすることがあります。認知症がある場合は、暑さや体調不良をうまく言葉にできないこともあります。
つまり、高齢者の熱中症対策では、本人の訴えだけに頼らず、家族や介護職が表情・食事量・尿の様子・活動量などを見て判断することが大切です。
「本人が大丈夫と言っているから大丈夫」と考えないことが、夏の介護では重要になります。
2. 夜間脱水と“室内の暑さ”に注意
熱中症は屋外だけで起こるものではありません。
環境省の熱中症予防情報サイトでも、屋内ではエアコンなどを適切に使用し、涼しい環境で過ごすことが呼びかけられています。
特に8月は、夜になっても気温が下がりにくい日があります。寝ている間も汗をかき、朝起きた時にはすでに軽い脱水状態になっていることもあります。これがいわゆる夜間脱水です。
夜間脱水では、朝のふらつき、頭がぼんやりする、食欲が出ない、尿の色が濃い、便秘が悪化するなどの変化が見られることがあります。こうした症状は「年のせい」「夏バテ」と見過ごされがちですが、水分不足のサインかもしれません。
また、高齢者の中には「冷房は体に悪い」「電気代がもったいない」と考え、エアコンを控える方もいます。しかし、室温や湿度が高い状態で我慢を続けることは危険です。
温度計や湿度計を見える場所に置き、感覚ではなく数字で室内環境を確認することが予防につながります。
3. 家族と介護現場でできる予防策
熱中症と脱水を防ぐためには、毎日の生活の中で無理なく続けられる仕組みを作ることが大切です。
まず、水分補給は「のどが渇いたら飲む」ではなく、時間を決めて少しずつ飲む方法がおすすめです。起床時、朝食時、昼食時、入浴前後、夕食時、就寝前など、生活の流れに合わせて声をかけると続けやすくなります。
水やお茶だけでなく、味噌汁、スープ、果物、ゼリーなども水分補給の助けになります。食欲が落ちている時期は、食事から水分や塩分を補う工夫も役立ちます。
ただし、心臓や腎臓の病気などで水分制限がある方は、自己判断で水分量を増やさず、主治医や訪問看護師に確認してください。
介護現場では、利用者の水分摂取量だけでなく、室温、表情、食事量、排尿、眠気、ふらつきなどもあわせて確認したいポイントです。特に、入浴介助や送迎の前後は体に負担がかかりやすいため、いつもより注意が必要です。
また、家族や職員同士で「今日は暑さ指数が高い」「夜も気温が下がらない」といった情報を共有することも大切です。環境省の熱中症予防情報サイトでは、暑さ指数や熱中症警戒アラートを確認できます。
夏の介護では、暑さを我慢させないこと、脱水を見逃さないこと、早めに環境を整えることが何より大切です。
まとめ
8月の猛暑は、高齢者にとって大きな負担になります。
熱中症は屋外だけでなく、室内や夜間にも起こります。
特に、暑さやのどの渇きを感じにくい高齢者では、本人が不調を訴える前から脱水が進んでいることがあります。
水分補給、エアコンの活用、室温・湿度の確認、朝の体調チェックなど、日々の小さな見守りが命を守ります。
家庭でも介護現場でも、猛暑を安全に乗り切るための備えを整えていきましょう。
参考URL
・厚生労働省「熱中症を防ぎましょう」:
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html
・厚生労働省「高齢者のための熱中症対策」:
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/pdf/heatillness_leaflet_senior_2022.pdf
・環境省「熱中症予防情報サイト」:
https://www.wbgt.env.go.jp/
・総務省消防庁「熱中症情報」:
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/post3.html

















