『とやまるっと』編集室ツミキです。
昨今、セクシャルハラスメント・パワーハラスメントなど、様々な「ハラスメント」のお話がありますが、今回は”介護ハラスメント”のお話です。
ご高齢者の介護の問題で、”高齢者虐待”が問題視される一方で、
ご高齢の利用者やそのご家族から介護職員が受けるハラスメントを”介護ハラスメント”と言います。
今回、平成30年に実施された厚生労働省の「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究事業 報告書」を、参考にしながらにお話しさせていただきます。
1.利用者からのハラスメントの実態
利用者本人からのハラスメント行為の実態についての調査結果です。
サービス内容によって、若干異なりますが
平均すると50%ちかくの人がその経験があるようです。
その内容については、精神的暴力と身体的暴力が7割から8割の方に経験があり、セクシャルなものが3割から5割をしめています。
現場を見ると、ご高齢の方はご自身が現役の頃にコミュニケーションの一環として行っていた発言が、時代に合わずに受取手側から”暴言”・”セクハラ”ととられているケースを見かけます。(もちろん確信犯もおられますが、、、)
この場合、発言される側には悪気がありません。しかし、今の時代には明らかに合わない発言もあることから、その対応に苦慮することもあります。
こちらが注意しても、なんのことかわからない。なぜ、悪いのかわからないということも生じています。
2.利用者の家族からのハラスメントの実態
今回の厚生労働省の調査で驚いたのは、利用者の家族からのハラスメント問題にも切り込んでいたところです。
介護は、利用者との関わりもさることながら、そのご家族との付き合いも重視されます。
本来、ご家族の負担を減らすことを一つの目的としている介護者が、ご家族からハラスメントを受けるというのは、非常に悲しい事態です。
結果としては、利用者本人からのハラスメントと比較すると1割から2割程度と低くなっています。
やはり利用者本人と比べると、利用者のご家族は接する時間に差があるため、このような結果になっているのかと察します。
内容としては、9割近くが精神的なものです。
これは私見になりますが、ご家族は、接する際に身体的な距離があることが身体的暴力に繋がりにくいこともあるのではないかと思います。
しかし、言葉の暴力も時に法に触れることもあります。
逆に、法を犯さないからと言って、全てが許される訳でもありません。
この調査の中の考察部分には、
介護職の社会的地位の低さがトラブルを増加させている原因にもなっているのではないか?とも記載されています。
この背景には、様々な原因がありますが、
介護職は、「誰でもできる、資格がなくてもできる仕事」と思われていることが一つ関与しているのではないかと推測します。
確かに、資格は必ずしも必要としない場面もあります。しかし、介護には技術があり、プロとしてのプライドをもって仕事されている方もたくさんおられます。
利用者さんは社会への影響力・拡散力を持っておられる方が少ないため、介護職員の技術の差を利用者のご家族や、介護職以外の方が触れる機会は少ないかもしれませんが、現場感覚としては、介護職員のなかで、あきらかに技術による差があります。
間違いなく、
介護技術はプロの技術です。
この点において、芸能人の方の禊として”介護施設のボランティア”が頻度よく利用されるのは、複雑な思いです。
すこし話がそれましたが、次に「ハラスメントが実際にどのような影響を与えているか?」について説明します。
3.ハラスメントが原因で、介護職員は仕事を辞めている?
「これまでに、ハラスメントうけて休職したことがあるか?」という問いに対しては3%未満と低い結果です。
ですが、決して安心できる結果なのかというとそうではなく、1から2%に休まれた経験があるということです。
また、介護職の人手不足から、傷ついていても休めない現状があるのかもしれません。
また、
実際にハラスメントを受けて仕事を辞めたいと思った介護職の方のなかで、実際に辞めた経験がある人は、多くて1割いらっしゃるようです。
人口が減少していく日本で、ただでさせ働き手不足に悩む介護現場が、ハラスメント行為によってさらに疲弊していく原因とならないことを望みたいものです。
そのためには、
ハラスメント行為にあった場合に、どのように報告・対処するかを日頃から施設全体で話し合い、個人のみが悩むのではなく組織全体で対処するような環境作りが望まれます。
4.ハラスメント行為は増えている?
ハラスメント行為は、時代の流れにも乗って注目されてきています。
今回の調査では、直近3年間でハラスメント行為の報告件数が増えているかどうかという質問に対して、増えていると答えた人が1から2割程度おられました。
実際の、件数自体が増えていなくても、報告として上がってくるものが増えている可能性があり、もしそうだとすれば対応するために組織が動き出している結果とも言えます。
しかし、「わからない」という回答の中には、「調べていない」・「目を光らせていない」が含まれている可能性があります。
先ほども、お話ししましたが、ハラスメントによる介護職からの離職を防ぐ、また、精神的なダメージをケアするには、組織として対処法を決めておくことが必要です。
そのためにも、まずは報告しやすい職場の環境作り・数の把握が重要となります。
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