『とやまるっと』編集室です。
人材不足が続く介護業界では、副業や兼業という新しい働き方が現実味を帯びてきました。かつては「本業に支障が出るのでは」という懸念から制限されることが多かった副業ですが、いまや離職防止や人材確保の手段として、事業所側も制度化を進めています。今回は、その背景と現場での活用方法について整理します。
1. なぜ副業・兼業が注目されるのか
介護の仕事は慢性的な人材不足に直面しています。その一方で、働く人々の意識は「収入の多角化」「スキルの横展開」「ライフイベントに合わせた柔軟な就労」へと変化してきました。
こうした状況のなか、副業や兼業を認めることは、採用力を高めたり、離職を抑えたりする有効な手段と考えられるようになっています。
単なる「お小遣い稼ぎ」ではなく、リスキリングやキャリア形成の一環としても注目されているのです。
2. 法制度と就業規則のポイント
実際に副業を取り入れるには、就業規則の整備が欠かせません。
副業の可否や届出の方法、同業他社で働く場合の取り扱いなどを明文化しておく必要があります。
また、労働基準法の観点から、本業と副業の労働時間は通算して考えなければなりません。
勤務間に十分な休息時間を確保できているかどうかも重要です。
さらに、介護という業種特性から、利用者の個人情報や施設内で得られたノウハウの取り扱いには特別な配慮が求められます。
情報漏えいや利益相反を防ぐために、秘密保持契約や行動ルールをあらかじめ定めておくことが、現場での安心につながります。
3. 現場のメリットとリスク
副業・兼業には多くのメリットがあります。
たとえば、介護職員が別の職場で学んだ知識や経験を本業に還元できる点です。
リハビリや栄養、ICTなどの専門スキルが循環すれば、結果的に利用者に提供するサービスの質も高まります。職員自身にとっても、収入の安定やキャリアの多様化につながるため、「介護を続けやすい環境づくり」の一助になります。
一方で、
長時間労働による疲労や、医療的ケアに伴うヒューマンエラーのリスクも指摘されています。
夜勤と副業を両立させた結果、集中力が落ちてしまうといった懸念は無視できません。
また、情報漏えいや競業問題も現場にとっては大きな課題です。こうしたリスクをいかにコントロールするかが、副業を定着させるカギとなります。
まとめ
副業や兼業は、介護職員にとって「働き続けやすさ」を支える新しい仕組みです。しかし、ただ解禁すればよいというものではなく、健康や情報管理のリスクを丁寧にコントロールしながら現場に根づかせる必要があります。
制度と運用を整え、「安心して挑戦できる環境」を整えることが、これからの介護業界に求められています。
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